例えば二人の気持ちが一気に溢れて決壊して、混じりあったとしたら。 現実は何か変化するのだろうか。 起こりうる一つの可能性として、誰かの頭の中であったとしても、生まれうるのだろうか。 いつも思う。 彼女の首も肩も腕も腰も脚も全てが華奢で、頼りないと。 しかしその身体に宿る生命は力に満ち溢れていて、その魂に触れる度に自分は認識を誤っていたのだと気がつかされた。 そして、がんと叩かれたかのような衝撃を、全身で感じざるを得ない。 (セラ、お前は本当に、大した女だと思うよ。) 気高く美しいとは、まさに。 くゆるというのはまさに、歯痒い。狂おしいほどに。 時々はっとさせられる。 例えばその逞しい腕に庇われる度に、またあるときは隣を歩くその精悍な横顔を見上げる度に、あるいは何か物思いにふける広い背中を見つめる度に。 彼は男の人なのだという当たり前なことを、まるで全く知らなかったことに思い当たるように、気がつかされた。 (変だね、ノエルが男の人だなんて、初めからわかってることなのに) 不思議なくらいの安心感が、全身を包む。 例えば本人すら気がつかないほど自然に、チリチリと心をもゆらせていたとしたら。 知らないうちに熱だけ共有し、あとは発火を待つだけ、だとしたら。 その瞬間、未来は大きく変わるかも知れない。(あるいは、同じ?) アパートオブフラグメント ノエルとセラは、やっぱり一目惚れとかで始まることは決してないと思います。だって最初ノエルはライトとかユールとかカイアスとかのことで頭いっぱいだろうし、セラもライトのことで頭一杯な上にスノウがいるから異性として見ないだろうし。 でもあれだけの信頼関係を見せられると、ちょいちょい色んな場面でそれぞれお互いのことを見直したりはっとさせられたりすることがあったに違いないと、勝手に確信しちゃうのです。笑 (20120714) |