俺だから知っている事。お前だから知っている事。
他人よりはたくさんあると思うんだ。・・・けど、どう思う?













understand each other













「おひさー!ギップル!」
「おう、シドの娘!それに大召還士様も・・・珍しいな」
「こんにちは」
「もー!あたしはリュックだってば!」


今日は朝から油まみれでマキナ弄りだった。
ぶっ続けで6時間程やっていて、流石に集中力が切れてきたので休憩でも、と思った所で、珍客と言おうか、大歓迎と言おうか、そんな奴等が現れた。


「あれ、パイン先生は?」
「いっつも一緒って訳じゃないよ。パインは今ベベル」
「ほおう・・・上手くいってるみたいじゃん」
「それとは別だって!文献調べに行ってんの!も〜、ギップルは頭ん中そればっかなんだから!」
「んな訳ねーだろ馬鹿娘!」


休憩室の一つに通し、簡単に茶だけもてなしてやる。
そうして来意を尋ねてみれば、どうやら二人で近くまで遊びに来ていて、そのついでに立ち寄ったらしい。
気晴らし相手に丁度良いな、ととても二人には伝えられないような事をひそりと思っていると、ふとそのうちの一人の振る舞いに違和感を覚えた。


(・・・あれ、こいつ)


「ユウナ様さ」
「はい?」
「こんな事言っちゃあれかもしれねぇが、うちにユウナ様の大ファンがいてさ。ちょっと顔見せに行ってくれねぇかな?」
「あ・・・えっと、私でよければ」


するとユウナ様は嬉しそうな顔。この人はわかりやすいんだ。
大して付き合いのない俺でも、彼女の感情は手に取るようにわかった。
反対に、となりのじゃじゃ馬は。


「ユウナん行っちゃうなら、あたしも・・・」
「待てって。俺の話し相手にでもなれよ。暇なんだ」


暇、だって。
自分で言って笑ってしまいそうなくらい、嘘だった。
でも休憩は取らなければ、息抜きもしなければ、死んでしまう。
そうだろう?と心の中で訪ねながら、この目の前の女の様子をチェック。


「はぁー!?このリュックちゃんを話し相手になんて、偉くなったもんだねぇ!」


両膝を時々、一定のリズムで浮かせている。
話をする時に癖のようにやる両手のひらひらが、いつもより早い。
ユウナ様の反応と合わせるとこれは、決定的だ。


「・・・もぉー、じゃあユウナん帰ってくるまでギップルの相手してあげるよ」
「・・・くくっ!」
「は?」
「はははは・・・ゴメ、ははは!」
「なっ、何なのさ〜!」


とどめつけは、頬をやんわりと紅潮させた。
これじゃ俺じゃなくても、わかるな。


「お前があんまり可愛いからよ」
「はっ・・・はぁぁ!?」


わかるんだよ、リュック。
今日のお前が見せる仕草は、どれもこれも嬉しい時に見せる仕草や癖ばかり。
足をそわそわさせていたのは、何か企んでいる時、何か隠している時。
全部知っているんだ、昔から。


「で、念願の俺に会えた気分はどうよ」
「!!!」


真っ赤。


「はっはっは!」
「わっ笑うなぁ〜!」


どうせ、ユウナ様に無理言って付き合ってもらったんだろ?
二人で外出したのは本当かも知れないけど、ジョゼには間違いなく、俺目当てだ。
勿論、お前の。当たってんだろ?
お前の事なら一朝一夕じゃわかんねー事も、俺にはわかるんだよ。
何たって、・・・付き合い長いから、な。


「むぅ〜、そういうギップルだってぇ」
「は?俺?」
「ずーっと膝撫でてる!あたしといるの楽しいんでしょ?」
「・・・!」


まあそれは、お互い様な訳で。
俺等って、いいコンビじゃね?














End.














幼馴染みなので、些細な癖の意味を知ってるんじゃないかな、と。
でも書いてから思いましたが、ユウナんよりリュックのがわかりやすそうな性格してますよね;;笑
20080526
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