俺の置かれている状況は、この上なく困難であり、不運だと思う。









問答無用でいただきます









まず、誰から攻めようかという点で迷う。


(シド、は・・・できれば最後がいいよなぁ。あの人苦手・・・)


ぽわん、と。
喧嘩した記憶が大半であるアルベドの族長を思い出す。
族長といえど、シンも完全に消滅し、アルベドがスピラにほぼ完全に受け入れられたこの世の中では、あまりその地位には権力がなくなっているが。
でもホームがグアドに襲撃されたあの日や、ベベルの軍にこれでもかと攻撃され追いやられた遠い日には、彼がいなくてはアルベドは駄目だったろうから。

だから彼は今もやはり、アルベド人の心の支えになっているところはある。
まあ、平たく言ってしまうと時代遅れの頑固オヤジというところは拭えないけれど。

ところでシド、といえば。
スキンヘッドが記憶に強烈で、そこばかりに目がいってしまっていたせいか、思い出すと殆ど必ず、太陽に照らされてきらりと光るあの頭が浮かんでくる。
のは、今はどうでもいいのだけれど。


(ソリが合わなかったりアカギ隊のことがあったりで避けてたけど、まさかこうして向き合わなきゃなんねー日が来るなんて、な・・・)


別にいいとは思いつつも、やはり心象がいい方がいいだろうとも思ってしまう。
この先何が起こるかわかったものではないし・・・というのは、半分冗談だけれど。
俺以上にあいつはきっと、シドに認めてもらいたいと思う筈だし。

とにかく色々と問題のある人物なので、後回しにしようと決めた。









次に浮かんだのは、金髪のモヒカンと思い切った髪型を気に入っているアニキ。

あいつは個人的には妙にはりきっているし面白いし好きなんだが、どうも嫌われている節がある。
ガキの頃は別に何も感じなかったが、ある日を境に距離を置かれるようになったと感じた。
俺もあいつだけしか友達がいなかった訳じゃないから別に気にしなかったけど、気になり始めると止まらなくなることもある。
そして、何とかまた昔のように仲良くなれねぇかなとも。


(だけど・・・まさか俺と距離を置いた原因が女絡みだとは、思わなかった)


あいつと作戦会議をしている中でついに知ったその事実は、呆れると共に可笑しく、また哀れでもあった。
でもだからといってアニキのために一肌脱ぐのも面倒だと正直思ってしまうし、失礼とも思う。
まあ、それも今は関係ないので置いておいて。


(女のことで俺に恨み持ってるらしい奴に言うのは何だか、なぁ・・・。逆恨みで拒否されても困るし、もうちっと周りも認めるような雰囲気になってからのがいいかな)


ちら・と隣で金髪の長い髪を三つ編みに結っている女を盗み見て、どう見ても血なんて繋がってないよなぁなんてまたどうでもいいことを考えながら、奴も後回しにすることにした。









次に浮かんだのは、昔馴染みの連中。
背の高い順に頭にポワ、ポワ、ポワ、と浮かんだ。

故に最初に浮かんだのは、色っぽい女を未だに囲っている眼鏡の男。
あれ、一緒にならないのかね、ガキでもできたら責任取るのかね、なんてまたまた関係ないことを考えながら。

次はあのくそまじめなお兄さん。
片思いは成就したのだろうか、奥手そうでやり手そうで純情そうで根性なさそうだからな。
もう一人の馴染みのことが気になっていると打ち明けてくれたのは随分前だけれど、進展がないところを見るとふられでもしたか。
或いは、その後の展開を教えてくれない薄情者だったりしたのか。
いやいやだから、そんなことはどうでもよくて。


(あいつら口軽そうだからなぁ・・・まあ他も人のこと言えないけど。あいつらに言うのは一番最後でもいい気がする。あいつらに言うくらいなら、そうだ、あの人に。)


ユウナ様。
なんだかんだで、とっても頼りになるお人。
口も堅ければ義理人情にも厚い、とっても素敵で偉大な我らが大召還士様。


(でも、こいつが親しいって話で、俺は別に個人的に仲がいいわけではないしなぁ・・・)


今は彼女の大好きな大好きな恋人様が帰ってきて、幸せに暮らしているらしいし。
余計な心配事を抱えさせるよりは、決まったことを最後に報告した方が喜ぶだろう。









(すると・・・あれ、俺は誰にも打ち明けるどころか相談もできねぇじゃねぇか)


思わず眉根を寄せてしまった。
そして、結局頼れるのは自分一人と自覚。


(それなら・・・、そうだな、それしかないよな)


お父様にも、お兄様にも、義理のお姉様にも、その他大勢様にも。
あとからご説明に回らせていただこうと思います。


「リュック!」
「んー?」


どうせ、誰に反対されても文句を言われても、いただくつもりではあったわけだし。


「結婚しようぜ」
「・・・!!!」


一生かけて、幸せにしてみせますので。


(一発目は、彼女の驚いたような嬉しいような怒ったような幸せのような、悲鳴と抱擁。)



















ギププロポーズ+娘さんを俺にくださいの話。
こんな話ばっかな気がする(笑)ギプリュの結婚ネタが好きらしいです!笑
ギプルさんは男らしいので誰かを懐柔して味方になってもらって・とかはしなさそうですが、敢えてしようとしたらどうなるかな、とやってみたら結局彼は自分一人の力で動くことにしたらしいです。がんばれ!笑
20081022
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